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解雇・退職勧奨・雇止めとは・・ |
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労働者と雇用者(会社)には、労働契約が交わされています。これを雇用者側から一方的に修了させるのが「解雇」です。
「退職勧奨」は退職をするように仕向けるもので、退職勧奨後に自ら辞表を提出した場合は、「解雇」にはなりません。しかし、合理的理由がなくその手段方法も社会通念上相当といえない場合など、雇用者としての地位を利用し実質的に社員に退職を強いるものである場合は違法となります。
また、雇用期間が決まっている労働者が期間満了によって更新をしない場合の「雇止め」は、会社からの意思表示ではないので解雇にはなりませんが、長期にわたり契約更新が繰り返され(更新手続きが形骸化)実質的には「雇用期間が定まっていない契約」と同じような場合は、労働者は更新される事を期待しています。このような場合に会社側が契約を拒否するためには「客観的合理的理由」や「社会的相当性」が必要(労働契約法19条)になります。 |
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解雇の種類は・・ |
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懲戒解雇 |
会社の労働者に対する罰としての解雇。 |
整理解雇 |
会社の業績不振などの会社側の事情による解雇。いわゆるリストラ。 |
普通解雇 |
「整理解雇」や「懲戒解雇」以外の解雇。能力不足や勤務態度の不良、違反行為などを理由にした解雇。 |
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どんな時に解雇ができるのでしょう・・ |
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解雇についての重要な法律があり、以下のように規定しています。 |
解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする 【労働契約法16条】 |
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上記の通り、従業員の解雇が認められるためには、「客観的合理的理由」と「社会通念上相当であること(解雇が労働者にとって過酷すぎない)」が必要になります。解雇はそう簡単にできるものではありません。従って経営者は、辞めてもらいたい従業員がいる場合、感情的になって「首にする」のではなく冷静になって説得して自主的にやめてもらうことが絶対に必要です。
新型コロナの影響で解雇や雇止めにあった人が7月1日時点で3万人を超えたことを厚生労働省が発表しました。雇用への不安は増加傾向にあります。こうした解雇は「整理解雇」になり、解雇の有効性が認められるのは、次のような場合です。 |
1 |
人員削減の必要性があること |
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解雇回避の努力をしたこと(役員報酬の削減や希望退職者募集などを実施したか) |
3 |
人選の合理性があること(恣意的ではないか) |
4 |
従業員に説明・協議をきちんとしたこと(会社の経営状況を客観的な数字を挙げてきちんと説明し、従業員を納得させることができたか) |
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客観的に合理性がなく社会通念上相当と認められない解雇をした場合、懲戒解雇、整理解雇、普通解雇の何れの場合も解雇は無効となり雇用関係が継続していることになります。会社が解雇通知を出しても法律的に効力がなく、従業員の地位は存続しています。この場合は、従業員は勤務していなくても給料を全額請求できることになります。
解雇をする場合は、まずは解雇予告をせねばなりません。労働基準法には、使用者が労働者を解雇する場合には、原則として少なくとも30日前にその予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないと定めています(解雇予告手当)。
労働者は経営者に比べると立場が弱いので、法律によって沢山の権利で守られています。従業員を雇用する場合は、それを遵守する覚悟が経営者には求められます。 |
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