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裁判員の心の負担 |
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裁判員裁判は重大犯罪を扱っているために、残酷な証拠を見なければならないことがあります。辛辣な事件の現場写真などです。裁判員の心に負担が重くのしかかることが考えられます。これを軽くするには、裁判を担当する方が証拠を厳選する、見せ方を工夫する、裁判官が裁判員とコミュニケーションを十分にとることなどが大事だと思われます。また、裁判終了後のケアの充実も必要です。 |
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裁判員の出席率の低下 |
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裁判員に選任され実際に裁判所にきた人の割合は年々下がっているようです。この要因として最高裁は、審理期間の長い事件が増え、期間を事前に知らされた段階で参加できないと判断してしまう候補者がいると分析しています。このほか最高裁は、雇用情勢の変化で人手不足の職場が多く仕事が休み辛い、裁判員制度への関心が薄くなっている、などが要因ではないかと推測しています。また、非正規雇用の方は裁判に参加することで仕事が欠勤扱いになり、その月の賃金が大幅に減り、生活に支障が出る、ということもあるようです。
5/3の憲法記念日に寺田逸郎最高裁長官は5月に施行8年を迎える裁判員制度について、努力すべきところが残っているとの認識を示し、「公判前整理手続き(公判前に証拠や争点を絞り込む)の効率化は大きな課題。また裁判員候補者の出席率の低下については現在、原因の分析を進めており、何らかの対策をとっていかないといけない」と述べています。(毎日新聞より抜粋) |
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量刑の判断 |
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裁判員裁判での判決が、プロの裁判官だけで審議する高裁で棄却される割合が高まっています。2016年に控訴審を終えた376人中、約13%の49人で一審が棄却されました。これは10年前と比較すると約8,4ポイント上昇しています。最高裁の司法研修所は裁判員制度スタート前年の2008年、「裁判員による判決を二審もできる限り尊重すべき」との見解を示していますが、控訴審での破棄率は、2014年から3年連続で通常裁判を上回っています。(神戸新聞NEXTより)
宮崎市でも、2013年に女性を殺害し遺体を切断したなどとして殺人や死体損壊・遺棄などの罪に問われた東竜二被告の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部は4月27日、裁判員裁判で審理した1審宮崎地裁の無期懲役判決を破棄し、懲役25年に減刑しました。求刑の懲役25年を上回った1審判決を、「具体的、説得的根拠を示さずに無期懲役を選択した量刑判断は誤り」と指摘しました。
刑事司法に市民感覚を取り入れるための裁判員制度ですが、二審での裁判官が過去の判例や量刑を優先して判決を覆せば、裁判員が苦労して出した判決は何だったのか、ということになりかねません。せっかく始まった裁判員制度。参加した国民の気持ちが報われるよう、また判断が尊重されるように、制度の仕組みのより一層の充実が求められます。 |
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参考・引用‥‥ |
宮崎日日新聞・NHK解説室「視点・論点」 |
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裁判所HP |
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